Spring Frameworkもプロジェクトの一斉リリースへ

Eclipse Foundationのプロジェクト一斉リリース「Callisto」を手本に、Interface21はSpring Frameworkと関連プロジェクトを協調リリースする。

» 2006年12月15日 12時18分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 人気が高まっているオープンソースの「Spring Framework」をメンテナンスする英Interface21は、Eclipse Foundationに倣って、Spring Frameworkと関連下位プロジェクトの多くを協調リリースする計画だ。

 eWEEKの取材に対し、同社CTO(最高技術責任者)エイドリアン・コルヤー氏は、Eclipse Foundationの10の主要プロジェクトの一斉リリース「Callisto」の成功からヒントを得て、2007年前半にSpringと下位プロジェクトのリリーストレインを目指すと語った。

 Spring Frameworkは、Java Platform Enterprise Editionの軽量な代替選択肢として関心と採用が高まっているJavaアプリケーションフレームワーク。Interface21は12月7〜10日にSpring Experienceカンファレンスを開き、そこでコルヤー氏とSpringプロジェクト創設者でInterface21 CEOのロッド・ジョンソン氏がeWEEKに語った。

 中核のSpring Frameworkに加え、SpringはSpring Security、Spring AOP、Spring Web Flow、Spring Web Services、Spring Rich Client、Spring IDE、Spring MVC、Spring LDAP、Spring OSGi、Spring.Netなど複数の関連プロジェクトを持つ。

 「Spring Frameworkだけではない。多数のSpringプロジェクトがリリースされる」(コルヤー氏)

 「今のテーマは、Spring Frameworkだけから、エンタープライズソフトにおいて増大する問題を連係して解決するプロジェクトのポートフォリオへ、というものだ」と同氏。

 同氏は、Springには完全なアプリケーションスタックを構築するのに必要なピースがたくさんあるが、「われわれは、『一緒にそれを完成させよう』と言っている」と話す。

 これまでは、これらのピースは緩く結合した独立プロジェクトだったと同氏は言う。「だが、われわれがリリーストレインと呼ぶもの――SpringのこのバージョンとSpring Securityのこのバージョン、Spring Web Flowのこのバージョンなどの連係を保証するプロジェクト全体の協調リリース――を同時に提供すれば、顧客とユーザーにもっと多くの価値を加えられるのではないか」

 「われわれはEclipseがCallistoのリリースでやったことを手本にした。CallistoのリリースにはEclipseのエコシステムのすべてが含まれている。プロジェクトは独立したコミッターにより独立して運営されているが、共通のテーマ、マイルストーン、リリース日の下で一体となっている」(コルヤー氏)

 これらプロジェクトが2007年前半に協調リリースされたときに、「これらが確実に連係するようにし、これらがどのようにして緊密に結びついたシステムソリューションを作り上げるのかを示すサンプルを提供する」と同氏は語る。

 これはInterface21の顧客の要望に合っていると同氏は語る。「顧客はわれわれにもっと規範を与えることを求めている」

 同社は中核のSpring Frameworkプロジェクトを協調リリースの駆動エンジンとして利用する。

 同社は10月にSpring 2.0をリリースした。協調リリースは同プラットフォームの次のメジャーリリースに向けたものだ。「われわれがやりたいのは、Spring 2.1が出るときに、それと連係する多数のプログラムを投入することだ」とコルヤー氏。Spring 2.1のプランニングは進行中で、一般リリースは2007年前半に予定されているという。

 ジョンソン氏は、「Springの成功は、経験に基づいていることによる。これは現実世界の問題に関する経験から育った技術であり、現実世界の問題を解決する」と語る。

 さらに同氏は、Springが、同プログラムがなければインハウスで対処しなければならない複雑な「配管作業」の多くに対処するとしている。

 コルヤー氏は、Springはシンプルかつ強力なものを目指していると語る。「シンプルで強力であることは、まさにSpringが追求していることだ。やってのけるのが難しい芸当だ」

 Springを使ったアプリケーションがメインフレームシステムに取って代わったケースもある。メインフレームシステムは品質の最後の隠れ家と考えられているかもしれないと同氏は言う。

 「メインフレームシステムは品質とパフォーマンス、スケーラビリティに深刻に取り組んでいる。それが、品質基準を満たし、古いメインフレームアプリケーションを性能で上回るSpringアプリケーションに取って代わられた」(同氏)

 ジョンソン氏は、「ある意味、われわれはメインフレーム時代の特徴の一部を呼び戻す役割を果たしている」と付け加えた。

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